2016年12月17日土曜日

ワルシャワ公共図書館 その1

17, grudzien, 2016
sobota

ついに、ワルシャワの図書館で働く方にインタビューをすることができました!

ここまでの準備として、まずワルシャワ大学日本学科の学生、卒業生など関係者が登録できるオンライングループに特別に投稿させてもらい、そこでポーランド語のメール翻訳、実際に図書館についてきてもらっての通訳ができる学生さんを募集しました。ありがたいことに、2名の学生さんから「やってみたい」というお返事をもらい、実際に見学とインタビューのお願いのメールを翻訳してもらい、図書館に同行して通訳もしてもらいました。
ポーランドの大学は、3年で学士、2年で修士という制度ですが、学生のなかでは修士まで進むのが自然のような感覚があって、ほぼ全員が修士まで進学します。そうでないと就職が難しいのだそうです。日本の大学でいう学士/修士の境目が、ポーランドにはあまりないというか、、、つまりワルシャワ大学では、修士1年を4年生、修士2年を5年生と呼ぶのです(「私は今4年生なんです。」と言われたら修士1年という意味)。

協力してもらった学生さんは、日本学科2年生と5年生です。2年生の彼女はなんとこの夏来日して、私の在籍大学の日本語講習に参加していて、同じキャンパスで勉強していたことが判明!しかもものすごく気に入っているみたいで、留学ではなく正規で入学したい!と目を輝かせて話してくれました。あの校舎が好きらしい。5年生の彼女は私より先輩で、日本語ぺらぺら。裏千家の茶道の達人。大阪大学に留学経験もあり、阪大で茶道部に入ったが派が違ったので、ちゃんと調べて留学すればよかったと残念がっていました。

メールの翻訳はすべて5年生の学生さんに頼みました。向こうからの返信もポーランド語なので転送、私が送りたい内容、そして翻訳、と何度もメールのやり取りをすることになってしまいましたが、学生さんがはやく適確に処理してくださって助かりました。意味合いがうまく伝わらないこともあるので、私は日英両言語で文章を作って確認してもらいました。しかも彼女のおすすめの図書館を紹介してくれて、知り合いが図書館情報学科の卒業生だから会ってみない?とすすめてくれて、他の方面でも一気に話が進んでいます。

前置きが長くなりましたが、
今回はワルシャワ市立図書館http://www.koszykowa.pl/にお邪魔しました。国立図書館の次に大きい図書館です。
この図書館内には、一般的な図書の貸し出しフロアとは別に、貸し出しはせず、世界の児童文学作品を約10万冊展示、保存しているフロアがあります。ポ:Muzeum Ksiazki Dzieciecej Biblioteki Publicznej m.st.Warszawy という場所です。ここは16歳以上しか入れません。このフロアで働いている司書6人のうち、1人の司書の女性にお会いして、お話しすることができました。
あとからわかったのですが、司書の方は英語が話せたので、見学は英語で説明してもらいました。が、このケースはまれだそうです。

先に写真を載せます。外観の写真は撮ってきていないので、HPをごらんください。

書庫を見せていただきました。資料の出版時期を19世紀、20世紀、第二次世界大戦後で分けて、作者(姓)のアルファベット順で保存しているそうです。


こちらは新着図書



第二次世界大戦後に出版された資料


見学30分、インタビューは30分(相手も私もお互いに時間が限られている泣)、計1時間の訪問でした。インタビュー内容は、
①ここで働くまでの経緯、②お仕事の内容+やりがいと課題、③今後やってみたいこと
の主に3点で、質問内容は事前に教えていません。今回は初回だったので、ポーランドの司書資格についても教えていただきました。

はじめに、ポーランドで司書資格はどうやって取得するのかについて。
ポーランドでは、大学でしか司書資格は取得できません。資格が欲しい人は大学に通う必要があります。ポーランドの大学の入学資格は高校卒業資格と兼ねていて、高校3年生で受験するマトゥーラという試験に合格しなければいけません(これに落ちると学歴も中卒になってしまう)。その点数によって、入学できる大学が決まります。
だから高校を卒業している=マトゥーラ及第点=(どこかしらの)大学に入学できる、ということなので、大学に入ることは難しくないのだそうです。しかもポーランドの大学は無料で、夜間コースは有料らしい。
大学に入学したとして、司書になるためには、どの学部に入ってもいいわけではなく、2つの特定の学部しか選べません。Bibliotekoznawstwoという学部(英:Information Science、通訳さん曰く、図書館情報研究・文献学部)と、Polonistekaという学部(英:Polish Studies、通訳さん曰くポーランド文学部、ポーランドの文学、歴史、語学を学び、専門は児童文学を選択するところ)の2つです。卒業と同時に資格が取得できます。この学部がどのくらいの大学に設置されているのかは定かではないですが。
質問①につながっていくのですが、この女性は後者のPolonistekaの卒業なのだそうです。しかしこれは特殊なケースで、通常はBibliotekoznawstwoを卒業して、図書館に採用されますが、彼女のいる図書館は、貸し出しのしない、Muzeum Ksiazki (直訳:本の博物館)なので、ポーランド文学の知識がある人材も必要だという考えのもと、Polonisteka卒業者も採用するのだそうです。どちらにせよ、司書資格はあります。彼女はもともと子どもの本に興味があったのと、この図書館が、Muzeum Ksiazki 博物館のある唯一の図書館だったことが理由で、ここで働いているのだそうです。

長くなりそうなので、②③については次回にまわします。

2 件のコメント:

  1. ポーランドの司書(ポーランド語のスペルは何になるのかな)の資格は、1種類で、国家資格、という理解でよいですか?試験があるのでしょうか。大学で単位を取ればよい?

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    1. ポーランドで司書は、「bibliotekarz」といいます(ライブラリアン、司書、図書館員)。
      種類については、「学部3年を卒業すれば低いポジションの司書資格なら取れるが、みんな5年通って司書資格を取る」という曖昧な回答をされたのですが、おそらく1種類ではないと思います。国家資格かどうか、試験の有無については追加で質問しているところなのでお待ちください。クリスマスが近いので、回答は年明けになるかもしれません。

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