2016年12月18日日曜日

ワルシャワ公共図書館 その2

18, grudzien, 2016
niedziela

前回のつづきです。

②お仕事の内容+やりがいと課題
紹介したように、貸し出しはしていません。インタビュイーの女性は、「私たちの仕事は、本を与えるのではなく、情報を与えること。」とおっしゃっていました。それから彼女は、「例えば電車についての本が見たいと聞かれたら、電車の何について知りたいのか、どういう情報が欲しいのか、もっと詳しく聞いて、情報を集める必要がありますよね。」と話してくださいました。情報を手に入れたら、その先は利用者自身で読まなくてはいけない。そこまで見る(見届ける)のが、彼女の考える「仕事」だそうです。最初、この一連の流れを通訳の学生さんは「調査」と日本語で教えてくれたけれど、「レファレンス」で通じました。

彼女たちは、「パソコンではできないこと」という信念?に近いものを持っていて、

今でもこのような手作りのカタログ集を使って利用者のニーズに応えています。
所蔵している資料を、左(水色)は作者順、真ん中(ピンク)は自分たちで考えたテーマごとに配置して、取り出せるようにしています。その「テーマ」というのは、「ポーランドの歴史」「映画」「小説(いくつかある)」「自然」などなど。「〇〇について調べている」と言われたときに、この引き出しを開けて相談にのるそうです。「これを使っているのはうちだけじゃないかしら」と言うほどの自慢の引き出しのようです。もちろんPCもあります。

この「調査」がやりがいでもあり、課題でもあるようです。16歳以上が利用可能ということもあり、「良いなぞかけ」(同行してくれた学生さん訳)が多いことが、司書としてはやりがいだそうです。その「なぞかけ」に直接関わって、どういう情報を整理して提供するか、は大変だけれど本当にやりがいがある。あとは論文執筆の資料探しで来る利用者もいるので、たまに「時間がない、早くしてくれ」と頼まれることもあり、そのときは少し大変だ、と。そして、この方法を学ぶカリキュラムは、やっぱり大学でしかできないんじゃないの?と言われました。

③今後やってみたいこと
司書としては、ここと同じような、子どもの本を集めている世界の図書館を見てみたい。行ってみたい場所の1番はドイツだそうです。次がスウェーデン。この図書館では、海外の作品については話し合いで何を取り寄せるか決めて、注文するか、実際に現地に行くこともあるそうです。

個人としては、インタビュイーさんは現在博士課程で引き続き勉強をしているそうで、博士課程を修了することが目標だそうです。ここでの仕事はシフト制で9時~16時、残業はないので働きながら通えるらしい。そこで自分のスキルを磨きたいと話してくださいました。

もうひとつやりたいことは、自分の趣味を楽しみたい。犬(チワワ)を飼っていて、コンテストに出したいのだが、準備の時間があまりないようです。これは充実しているからで、不満ではないですよ!と念押し(笑)

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インタビューは以上ですが、余談で、インタビュイーさんの娘さん(高校生)が、大学の日本学科を志望しているらしく!日本語学校に通って勉強しているのだそうです。だから家族で日本に興味を持っていたところで、今回すごくいい方とお知り合いになれて嬉しい、ぜひ娘にも会ってほしい、と言ってくださって、私も非常に嬉しいです!これ、通訳によって時間差で伝わると何だか恥ずかしいですね。しかも通訳の学生さんは日本学科の現役の学生さんだし、最後はポーランド語で受験相談にのっていました(笑)

なかなかのスロースタートでしたが、インタビュイーさんが「次はここ行くといいよ!」って、知り合いの司書の方を紹介してくださったので、年が明けてから、ととのい次第、うかがいます。そうやってインタビュイーさんのおすすめをたどれたらいいなぁ。

気になること、まだ?なこともありますが、もうちょっとあたためてから書きます。
いろんな人の協力によって実現できていることを実感。

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